【統計検定2級・準1級】カイ二乗分布・t分布・F分布の定義と性質

標本分布の定義と性質 数学

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\newcommand{\defeq}{\overset{\text{def}}{=}}
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カイ二乗分布の定義

標準正規分布\( N(0, 1) \)に従うn個の独立な確率変数\( X_1, X_2, \cdots, X_n \)に対して

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X = X_1^2 + X_2^2 + \cdots + X_n^2
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で定義される確率変数Xが従う分布を自由度nの\( \chi^2 \)(カイ二乗)分布という。

t分布の定義

XとYが独立な確率変数で、Xが標準正規分布\( N(0, 1) \)に従い、Yが自由度nの\( \chi^2 \)分布に従うとき

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T = \frac{X}{\sqrt{\frac{Y}{n}}}
$$

で定義される確率変数Tが従う分布を自由度nのt分布という。

F分布の定義

XとYが独立な確率変数で、それぞれ自由度mの\( \chi^2 \)分布と、自由度nの\( \chi^2 \)分布に従うとき

$$
F = \frac{\frac{X}{m}}{\frac{Y}{n}}
$$

で定義される確率変数Fが従う分布を自由度(m, n)のF分布という。

カイ二乗分布の性質

\( X_1, X_2, \cdots, X_n \)を平均\( \mu \)、分散\( \sigma^2 \)の正規母集団からの無作為標本とし、\( U^2 \)を不偏分散とするとき

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Y = \frac{(n-1)U^2}{\sigma^2}
= \frac{1}{\sigma^2} \sum_{i=1}^n (X_i – \bar{X})^2
$$

で定義される確率変数Yは自由度n-1の\( \chi^2 \)分布に従う。

t分布の性質

標本平均\( \bar{X} \)と不偏分散\( U^2 \)に対して次が成り立つ。

性質①

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T = \frac{\bar{X} – \mu}{\sqrt{\frac{U^2}{n}}}
$$

この確率変数Tは自由度n-1のt分布に従う。

性質②

自由度nのt分布は\( n \to \infty \)のとき、正規分布に近づく。

性質①の証明

t分布の性質の証明

参考にした書籍

この記事の内容は「スッキリわかる確率統計: ―定理のくわしい証明つき―」という本を参考にして書かれています。正規分布のモーメント母関数の導出など、「統計学入門(赤本)」には書かれていない内容も、この本には書いてあることが多々あるので個人的にオススメです。

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