統計・数理統計の本の紹介 & 統計の勉強方法など

この記事では、初心者・中級者・上級者それぞれの方に向けてオススメの統計・数理統計の本を紹介します。ついでに、それぞれの段階でのオススメの勉強方法なども紹介します。

初心者にオススメの本

統計初心者の方への注意

書店やアマゾンなどのネットで統計の本を購入する際に注意して欲しいことがあります。

それは、初心者の方は「数理統計」という単語がタイトルに入った本を選ばない方が良いということです。

数理統計の本は、普通の統計の本よりも内容がかなり難しいです。
普通の統計の本で天下り的に教えられる部分を数学的に厳密に証明していく感じの本が多いので、統計初心者には向いていません。かなり高確率で挫折してしまうと思います。

数理統計ではなく、単純に統計学という文言がタイトルに入った本を選びましょう。

以下で紹介するような初心者向けの簡単な本から始める方が挫折しにくいと思われます。

【統計初心者の方へ】オススメの勉強方法

統計初心者の方が効率的に統計を攻略していくのにオススメの勉強方法は統計検定2級合格を目指すことです。

統計検定2級の合格率は約40%で難易度として丁度良いですし、2級を取れば一通りの基礎が身につきます。

検定合格を目標にすることでモチベーションも維持しやすいですしオススメです。

また、2級(準1級まで)はCBT方式のテストなので、全国のパソコン教室のようなところで比較的いつでも受験できます(TOEICなどのように決まった受験日があるわけではない)。詳しくは統計検定のサイトを参照してください。

統計検定2級は「統計WEB」というサイトで十分学べる

初心者にオススメの本と銘打っていてなんですが、統計検定2級をまず目指す場合、最悪テキストは要りません。下の統計WEBというサイトで十分です。このサイトは統計検定2級に必要な知識をとても分かりやすくまとめています。

統計検定2級合格を目指す場合、明らかに最適解なので十分活用してください。

ただし過去問はやった方が良い

統計検定2級の知識は統計WEBでほぼほぼ学べますが、過去問は、確実に受かりたいのであれば出来るだけ多くの年やった方が良いでしょう。

問題を解くことで勘違いして理解している部分が浮き彫りになります。

2級の過去問の本はいくつも出版されています。
以下のCBT対応版の過去問は、年度別ではなく、問題の分野ごとに整理されています。模擬テストは1回分入っています。

次は2018年~2021年の過去問です。試験がCBT方式になる前は通常の紙の試験だったので年度別の過去問の本は紙の試験の過去問です。ただし、CBT方式で出る問題とほとんど変わりません。
アマゾンなどで検索すればもっと過去の過去問の本も見つかります。

初心者の方向けのオススメの本

初心者の方に向けたオススメのテキストは「マンガでわかる統計学入門」という本です。

統計の一通りの基礎知識を網羅していますし、説明も分かり易いです。
ヒストグラムから確率分布、点推定、区間推定、仮説検定まで網羅されています。

なにより絵がキレイなのでモチベーションを維持しやすいです。
マンガでキャラクターのセリフ主体で説明されるので読みやすくもあります。
※テキスト主体で解説される部分も多少あります。

統計を学び始めて1冊目の本として非常にオススメです。難易度も低めなので挫折する確率も抑えられます。

【初心者からのステップアップ】YouTubeの動画を見よう

最近ではYouTubeにも良質な勉強コンテンツが増えています。

統計に関しては通称ヨビノリの以下の再生リストなどが非常にオススメです。
少し難易度が上がるかもしれませんが、自分に合ったタイミングで少しずつ視聴して理解していくと良いでしょう。

中級者にオススメの本

ここからは中級者にオススメの本と勉強方法を紹介します。

中級者にオススメの本① 「統計学入門」

この本は界隈では「赤本」と呼ばれている有名な良書です。

良書ですが、統計初心者が最初に読む本としては難しいと思ったので、中級者向けにしました。

私自身、統計の勉強を初めて早い段階でこの本に挑戦しましたが、最初のうちはあまり理解できませんでした。他の本や、統計検定2級の勉強を進めていくうちに少しずつ理解できるページが増えていきました。

他のもっと簡単な本で勉強し、数学的に厳密というか、カッチリした説明が読みたくなったときに該当のページを少しずつ読んでいく、といった使い方が良いと思います。

赤本が理解できるレベルになれば、赤本をしっかり読み込んで統計の知識を固めていくのは良いと思います。良書というのは間違い無いと思いますので。

ただ、注意点として何度も言いますが、最初からこの本で統計を勉強できる人は限られると思います。
まずはもっと簡単な本から始めましょう。

中級者にオススメの本② 「マセマ確率統計」

次にオススメする中級者向けの本はマセマの確率統計です。

私は統計をまずこの本で学び始めたので、かなり思い入れのある本です。
かなり読み込みました。

ただ、他の本も読んでから気付いたのは、マセマは説明が基本丁寧なのですが、ところどころかなり難解な部分があります。
正直今でも完全に理解できていない箇所がいくつかあります。

ほとんどの部分は説明がかなり丁寧なので、分かる部分だけ、まずは読んでしまい、理解できない部分はひとまず放置しても良いと思います。
難しい箇所はそこまで重要でないことが多いので、レベルアップしたらいつか戻ってきましょう。

中級者にオススメの勉強法

中級者の方は統計検定2級をすでに合格していることを想定しています。

統計検定準1級を目指しても良いとは思いますが、注意点として2級と準1級のギャップはかなり大きいです。

細かく説明すると、準1級では試験範囲にベイズ統計、時系列分析、多変量解析など、分野単位で範囲が追加されるため範囲が非常に広いです。

まず網羅して勉強するのに非常に時間が掛かります。

統計検定準1級を目指すのは悪くない選択肢だと思いますが、多少覚悟が必要です。

そこで、オススメの勉強方法は、まず自分の興味のある分野を勉強することです。

ベイズ統計に興味があれば、ベイズ統計の専門書を買って勉強しましょう。
株価などの時系列データに興味があるのなら、時系列分析の本を買って勉強しましょう。

統計検定2級の知識があれば、あなたの興味のある統計の周辺分野の書籍を読む基礎力ができています。

上級者にオススメの本

統計上級者の方、もしくは上級者を目指す方向けにオススメの本や勉強法を紹介します。

統計検定準1級や1級を目標にしよう

統計上級者の方もしくは上級者を目指す方は、統計検定準1級や、その先の1級を目指して勉強すると良いと思います。

モチベーションも維持しやすいと思いますし、統計検定準1級に合格すれば、統計のおおよその範囲の分野について知見が溜まります。

ここで一つ覚えておいて頂きたいのは、統計検定準1級と1級は少し性質が異なることです。
もちろん準1級より1級の方が難しいのですが、1級はどうやら出題される範囲が限定されるようです。
つまり、準1級の方が広く(浅いとは限らない)勉強する必要があり、1級に受かる人が必ずしも準1級に受かるとは言えない。

なので、準1級や1級を取ろうとする方は順番に準1級から取っていく方が統計の広い範囲をしっかり学ぶことができます。

統計検定準1級のためのオススメの本

統計上級者を目指す上で統計検定準1級の勉強をするのは非常に効率が良いと思います。

準1級合格のために必要な本を紹介します。

まずは「日本統計学会公式認定 統計検定準1級対応 統計学実践ワークブック」です。

この本は準1級合格のために必須と言える本です。ただし、いくつか注意点があります。
それは、この本は基本的に準1級の試験範囲を定義した本であり、説明は基本難解もしくは分かりにくいです。このワークブックで試験範囲を確認し、他の各分野の専門書を読んだ後でワークブックに戻り知識を確認する、といった使い方が前提だと思います。

ワークブックを読んで理解できなかったからと言って、挫折する必要は全くありません。
おそらく多くの人がワークブックだけ読んでも何も理解できません。

準1級も過去問は解くべき

上の本が準1級の過去問です。

オススメの使い方が2点と、注意点が1点あります。

まず、オススメの使い方ですが、ワークブックや他の参考書を読むのと並行で問題に取り組むべきだと思います。

ワークブックや他の参考書で小難しく解説してある内容も、問題にしてみると簡単な内容であることがたびたびあります。ワークブックなどを読むのと同時に該当分野の問題を探して解いてみると良いでしょう。

資格試験でよく言われることですが、まず分からなくても過去問を一通りやって問題傾向を把握してから勉強するほうが効率的だと言われます。統計検定準1級もこれに漏れていません。

統計検定準1級の学習初期の早い段階で過去問に取り組むことをオススメします。

もう一つのオススメの使い方ですが、論述問題はCBT試験には出ないとはいえ挑戦することをオススメします。もちろん、理解まで行けるとベスト。

何回か統計検定準1級を受けてみて分かったのですが、うわべだけの理解ではなかなか受かりません。
論述問題はしっかり取り組めば、本質的な理解を促すような問題になっているので、全問理解できることを目標にすると良いでしょう。統計検定準1級のレベル感としては、論述を理解しても受かるか怪しいくらいです。

注意点ですが、2021年の問題だけ突出して難しいので、この年の問題が解けないからといって諦めないでください。特に、この本に載っている最初の年なので注意してください。一旦挑戦して、他の年の問題から攻めていくと良いでしょう。

統計検定準1級合格に向けて

ここでは紹介しませんが、統計検定準1級合格のためにはワークブックを中心にベイズ統計、時系列解析、多変量解析などの分野の本を用意して個々に攻略していくべきです。

要望があれば、それぞれの分野の本も紹介しようと思います。
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