宝くじを2本買うと確率2倍!は本当??

宝くじ 数学

昨日こんな確率の疑問にぶち当たりました。

チャンスが2回あったら、当たる確率はチャンスが1回だけの人の2倍なのか?

直感的には正しそうな気がします。

しかし次の例を考えてみてください。

おかしい例

表裏が1/2の確率で出る公正なコインで賭けをします。表が出たら勝ちです。

ここで、1回だけコインを投げて勝てる確率は1/2(50%)なのは間違いありません。

しかし、2回コインを投げるチャンスがある場合、1回投げる場合より確率が2倍になると考えると

1/2 × 2 = 1(50% × 2 = 100%)

と、当たる確率が100%になってしまいます。

当たる確率が100%ということは、絶対に当たるということです。

なにかがおかしい・・・

コイン投げの正しい確率

もちろん2回投げた時の当たる確率は100%ではありません。

2回のうち1回でも当たれば当たったことにしていますから、少なくとも1回当たる確率は、「2回とも外れる場合の余事象の確率」を計算して以下のようになります。

$$
1-(0.5)^2=0.75
$$

つまり、2回投げた場合に少なくとも1回当たる正しい確率は0.75(75%)です。

重要な事実は、1回だけ投げた場合の確率1/2(50%)の2倍にはなっていないことです。(2倍の2回投げたのに・・・)

なぜ勘違いするのか

しかし、例えば宝くじを買った場合などに、2本買えば1本買うより確率2倍だと、直感的に思ってしまいます。

これはなぜでしょうか?計算して考えてみます。

まず宝くじは復元抽出だと仮定します。復元抽出というのは、くじを引くたびに当たる確率が変わらないということです。普通の宝くじ、購入数であれば、復元抽出は仮定できます。

ここで、当たる確率をpとします。当たる確率は低いので、p=0.01やp=0.0001のような値になります。

記述を簡単にするため q = 1 – p で定義されるqも導入します。qは言うなれば外れる確率です。

このようにpとqを置くことは、確率や統計の本で良くあることなので慣れましょう。

では、2本くじを買って少なくとも1本当たる確率を計算しましょう。

先ほどと考え方は同じで、2本とも外れる場合の余事象の確率を計算します。

$$
\begin{eqnarray}
1-q^2&=&1-(1-p)^2 \\
&=&1-\{1-2p+p^2\} \\
&=&2p-p^2
\end{eqnarray}
$$

つまり、実際は2本買っても、確率は2倍の2pになる訳ではなく、\( p^2 \)だけ小さくなります。

しかし、基本的にpは1未満のとても小さい値なので、1次の項の2pに比べると、2次の項の\( p^2 \)はとても小さくなります。

実際、p=0.01とすると

$$
\begin{eqnarray}
2p-p^2
&=&2\times0.01-(0.01)^2 \\
&=&0.02-0.0001 \\
&=&0.0199
\end{eqnarray}
$$

宝くじのようにpがさらに小さくなると、\( p^2 \)の項はほとんど無視できます。

よって、そのような場合、確率はほぼ2pとなり、単純に2倍と考えても誤差は無視できるほど小さいことになります。

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